4時間目が始まるチャイムと同時に、2年生の女子生徒が、私の悩み相談室へやってきました。
「お腹が減って具合が悪くなったのかしら?」と思いましたが、そうではなさそうです。
彼女は、浮かない顔をして、私に悩みを訴え始めます。
最近、クラスで席替えをしたんだけど。
でも、あたりを見渡したら、ぜんぜん話したことのない男子や女子しかいなくて。
すごく、気まずくて・・・。
授業中に、周りの人と話し合う時間があるんだけど、話せる人が一人もいなかった。
周りの子は、他の人と話し合ってて、私だけ取り残されて・・・。
私、人見知りだから、自分から話しかけることができなくて。
次の授業で、話し合う時間があると思うから、嫌で逃げてきちゃった・・・。
彼女は思いを打ち明けると、「どうしたらいいのかなぁ?」と尋ねてきました。
私は、遠い過去の自分を思い出しながら、女子生徒に目を向けます。
「それは辛かったよね。
そんな授業、出たくないよね。
ねえ、ちょっと、空を見てみて。
空に浮かぶ雲は、風の流れに身を任せているよね?
じゃあ、小川を流れる水は、岩や石ころに抵抗しているかな?
していないよね。
まず、今のあなたにしてほしいことを伝えるよ。
Let it be.
(ありのまま、身を委ねなさい)
『話せない自分でもいいんだ』と受け入れることが一番大事なんだよ。
無理に自分を着飾ったり、よく見せようとすると、すごく疲れるよね?
だから、無理に周りの人と親しくなろうとしなくていい。
あなたはあなたのままでいい。
それが、人間であるべき当たり前のことだから。
そのあとで初めて、自分の行動を考えていくんだよ」
女子生徒はその後も、私の相談室にやってきて、不安や悩みを話していきました。
でも、いつの頃からか、彼女は相談室に来なくなりました。
心配になった私は、彼女の担任に聞いてみると、どうやら授業の話し合いに加われるようになったそうでした。
私は安堵し、女子生徒の笑顔を思い浮かべました。
大切なことは、あなたはそのままでいいということ。
あなたの心に、まずはこの土台をきっちりと置いてくださいね。
そして、自分を受け入れられれば、周りに目を向ける余裕が出てきますよ。
では今日も、一人の偉人に触れながら、あなたの悩みを解決する旅へ出かけましょう。
視線を自分ではなく他者へ
今回も、あなたの悩みを解決するために、一人の偉人を紹介することから始めます。
次の言葉から、どんなことを感じるでしょうか?
たいしたことをしたわけではない。当然のことをしただけだ。
出典ーコミック版世界の伝記 杉原千畝
語学に興味を持ち、早稲田大学英語科へ進んだ杉原千畝(すぎはらちうね)は、やがて外交官となります。
千畝は、外務省から留学するために、ロシア語をマスターし、エキスパートとして成長していきます。
ソビエト連邦の報告書をまとめた千畝に、大きな仕事が舞い込みます。
北満鉄道の買取交渉でした。
北満鉄道の買取交渉とは?
北満鉄道はロシアが満州北部に作った鉄道。
満洲国が成立したため、満洲国内の鉄道の権利を日本がソビエト連邦から買い取る話が出た。
千畝の巧みな能力で、鉄道を買い取ることに成功。
しかし、そのことが影響して「ロシア人を使ってソ連の情報を集めてほしい」、つまり「ソ連をスパイしろ」と軍に頼まれます。
ここで千畝はきっぱり断っています。
日本の外務省に戻った千畝は、幸子と結婚し、子供にも恵まれますが、ソ連にある日本大使館に行くよう辞令を受けます。
1939年9月、ドイツ軍がポーランドに攻め込み、第二次世界大戦が始まります。
あなたは、「命のビザ」を聞いたことがありますか?
アドルフ・ヒトラー率いるナチス・ドイツの迫害を受ける大勢のユダヤ人を救うために。
そして彼らが日本へ渡れるように千畝は「ビザ」を書き続けたのです。
ビザを出せば、外務省の命令を無視したことになり、仕事を失うリスクがありました。
けれども千畝は、「目の前の苦しんでる他者に、自分は何ができるのか?」という問いへの答えがあったからこそ、ビザを書く覚悟ができたのです。
私たちはまず、自分自身を受け入れることが大事です。
そこからすべてが始まります。
千畝は、客観的に自分を分析できたからこそ、他者にも目が向けられたのです。
自分が大変な時、私たちは自分のことで精一杯になってしまいますよね。
けれども、千畝はそこをクリアしたからこそ、「自分は他者に何ができるか?」という問いに出会えたのです。
千畝に助けられた一人のユダヤ人が尋ねます。
そして、千畝はこう答えます。
「なぜ、そこまでして、我々を助けてくれたのですか?」
「それが人間のするべき当たり前のことだと思ったからです」
千畝の生き様にこそ、私たちはどうあるか、そして何をするべきかがすべて表れているように感じてなりません。
千畝の「命のビザ」によって救われたユダヤ人は、6000人を超えると言われています。
そして今も、ユダヤの人々が千畝に感謝の思いを抱きながら暮らしていることを、願いたいものです。

自分のしたことは間違いではなかった、そう言える人生って素敵だね!
周りに話せる人がいないときの対処法3つ

前の項目では、杉原千畝の人生について述べました。
ここでは、千畝の生涯からどのようにあなたの悩みを解決するか、私なりに考えたことを説明していきます。
①まず、Let it be(あなたはそのままでいい)を受け入れる。
②自分を受け入れ、周りを見る余裕が出てきたら、「おはよう」の挨拶から始めてみる。
ここではすでに、自分を理解することの土台ができあがっている。
③授業中の話し合いについては、①②ができてから考えていこう。
まずは無理をしない。
「自分は他者にどう映るか」ではなく、「自分は他者に何ができるか」と意識を自分から他者に向けられるようになったとき、自分の行動がおのずと分かってくる。
これら3つの流れが、杉原千畝の名言につながっていくと思います。
そして、この3つができれば、あなたも自信を持って堂々と、自分の席に座ることができるはずです。
まずは、自分自身を客観的に理解すること。
それから周りとの関係性が、だんだんと見えてくるようになります。
他者に目を向けすぎて、自分を見失わないように

ここでは、私の学生時代の話をしましょう。
小学5年生ころの私は、「お人好しさおたん」と呼ばれていました。
いつも友達に気を遣って、ニコニコしすぎて、厳しいことなど言わない、そんな子供でした。
けれども、この「お人好し」の行動が周りに甘くみられて、からかわれたり、馬鹿にされたりするようになっていきました。
あまりにも自分を出さなすぎて、他者ばかりを優先していたのです。
それでは舐められても当然です。
だから、高校生のあなたに伝えたいことがあるのです。
「いい人」「お人好し」になんてならなくていい。
自分の感情を抑えず、もっと自分自身を外に出していっていい。
他者を大事にするように、自分のことも大事にする。
そのバランスが、いちばん大事。
周りに話す人がいなかったり、授業中の話し合いに加われなかったり。
辛いことがたくさんあると思います。
でも、いちばん大事なのは、あなた。
あなたが気持ちよくなければ、周りにも気持ちよく振る舞えない。
だから、ありのままのあなたでいること、自分をいちばんに大事にすることが重要です。
小学5年生の私のように、他者に目を向けすぎて自分を見失わないように、気をつけてくださいね!
人間関係に形式的な行動はない
ではもう一度、今回の偉人、杉原千畝の名言を振り返ってみましょう。
たいしたことをしたわけではない。当然のことをしただけだ。
出典ーコミック版世界の伝記 杉原千畝
この言葉を導くためには、3つの対処法が必要でしたね。
では、あなたの悩みも復習してみましょう。
席替えをして周りに話せる人がいなくて困っています。
授業中の話し合いにも加わることができず、どうしたらいいのか分かりません。
①まず、Let it be(あなたはそのままでいい)を受け入れる。
②自分を受け入れ、周りをみる余裕が出てきたら、「おはよう」の挨拶から始めてみる。
ここではすでに、自分を理解することの土台ができあがっている。
③授業中の話し合いについては、①②ができてから考えていこう。
まずは無理をしない。
「自分は他者にどう映るか」ではなく、「自分は他者に何ができるか」と、意識を自分から他者に向けられるようになったとき、自分の行動がおのずと分かってくる。
これが私なりに考えだした結論です。
授業中の話し合いの場面では、「こういうときは、こうしなければいけない」という形式的な行動はないと思います。
状況によって、自分の行動も変化していくからです。
だからこそ、まずはこの3つの対処法を身につけてみてください。
あなたが将来、社会に出て人と関わるときに、きっと大切な教訓になると思いますよ。
あなたが苦しいときにこそ
今回は、第二次世界大戦の真っ只中に、「命のビザ」でユダヤ人を救い出した杉原千畝(すぎはらちうね)の人生に触れてみました。
彼の人生から、あなたが抱える悩みについても私なりに答えを出してみました。
席替えをして、周りに話せる人がいないのは寂しいし、辛いものですよね。
でも、その状況こそ、あなたが視線を自分から他者に向ける訓練の機会にもなります。
自分が苦しいときでさえも、いかに周りに目を配れるか?
これは、あなたが大人になっていくうえでの大事なレッスンです。
どうぞ、悲観的にならず、過去の偉人たちからも学びを得てください。
そして、書店に寄ったときは、コミック版世界の伝記を思い出して、手に取ってみてください。
あなたの人生を変える偉人が、きっと待っていると私も願っています。
①あなたはそのままでいい。無理に自分を着飾る努力なんかしなくていい。
②人と関わるうえで、まずは自分自身を客観的に理解することが大事。
③自分自身が大変なときでさえも、周りに目を配れる勇気と強さを持ちたい。
さおり♬